増えている子供の拡大床(かくだいしょう)のトラブルについて
投稿日:2024-12-25
患者様から「うちの子が拡大床を使用して本当に治るの?」とのご質問が増えています。歯科医師より「今、始めないと手遅れになるから、とりあえずアゴを広げてみましょう。将来、歯を抜かなくてもよくなるかも知れません。」との説明を受けているようです。
拡大床によりアゴが横に広がって大きくなるというイメージが伝わっていますが、実際にはアゴが広がるのではなく、歯列が傾斜により広がる効果がほとんどで、奥歯は外側に傾き、咬み合わせも不安定になり、前歯は出っ歯になってしまい、更に6歳臼歯は後ろに動いてしまい、12歳臼歯が出て来なくなる危険性もある治療方法です。元々、アゴの中に並び切れないくらいの大きな歯なので、並べようとすると歯は外側に動かすしかありません。アゴが大きくなるのではなく、前歯も奥歯も外側に開いてしまうのがこの装置の本質です。
子供であっても歯を動かすということは、歯根吸収や歯肉退縮などのリスクも必ず考慮されなければなりませんが、残念なことに最近、検査、正しい診断をされず副作用の説明のないまま安易に治療を受けてしまって、トラブルになっているケースが増加しています。「拡大をしないと手遅れになる」ことはありませんので、落ち着いて複数の矯正専門の医療機関で相談を受けてから、信頼できる治療方法、歯科医院を選ばれることをお勧めします。
拡大床の治療のトラブルに関して学会が注意喚起しているコメントがあるので参考にしてみてください。